江戸十一代将軍・家斉の頃。家斉といえば、子福者として有名。生まれた子供のうち成育したのはわずか男子13人、女子12人であったが、それにしても、これら産まれた子供が、成長するに及んで、どのように処遇するのか、さすがの家斉も頭を痛めた。幕府財政は窮乏しており、いくら将軍といえども子供らの落ち着き先を見つけることは困難を極めた。そこで、幕府は諸大名家へ押しつけ養子や政略結婚という手段を取った。しかし押し付けられる大名家に取っては大問題である。将軍の子供といえば受け入れ体制を整えるだけで莫大な金が掛かる。しかも、大名家の世嗣との問題も厄介である。鼠小僧次郎吉(風間杜夫)が、遠山金四郎(松村雄基)と出会った時はこんな時代であった。遠山金四郎は、まだ部屋住みの頃で、遊び人の暮らしをしていた。金四郎は次郎吉に天下の一大事を打ち明け、次郎吉に手助を求めてきたのである。この天下の一大事とは、江戸城の大奥にいる大原幽学という農政学者から密告があって、将軍家斉の暗殺計画があるというのである。暗殺者は、将軍家の強制的な養子縁組で将軍家を恨んでいる尾張藩と肥前藩の脱藩者である。それに、当時大坂で兇悪な盗人働きをしていた二代目・葵小僧(萩原流行)が加わっている。次郎吉は金四郎の話をきいて、一瞬、躊躇した。しかし、金四郎とは妙に気が合った。葵小僧の盗人の風上にもおけない畜生ばたらきも気に入らない。あんな奴に、江戸で暴れられたらたまったものではない。次郎吉は、遂に立ち上がった。次郎吉側の陣容は、大坂から葵小僧を追って東上してきた大坂東町奉行所与力、大塩平八郎。長崎から砲術の最新技術を持ち帰って来た、高島秋帆。浮世絵師、安藤広重。それに、三河田原藩の江戸家老、渡辺崋山などの多士済々。といっても、当時彼らはみな無名の青年であった。次郎吉らはそれぞれの専門知識を持ち寄って、将軍暗殺計画を事前に打ち砕く作戦会議を開く。しかし、あろうことか、この作戦会議に葵小僧が大原幽学に成りすまして潜入していたのである。次郎吉側の作戦は筒抜けになっていた。作戦を立て直さなければならない。次郎吉は脱藩者グループの殲滅から事を始めた。しかし、葵小僧は次郎吉をあざ笑うように、報復として次郎吉の恋人・お妻を陵辱した上殺してしまう。かつて、お妻の膝枕で陶然と聞き惚れた゛柔肌まくらに 小判の褥 夢と承知で 見続ける゛といった甘い夢の世界が、次郎吉の眼前で音を立てて崩れていった。次郎吉は愛する人を失い、復讐鬼となって葵小僧に立ち向かう。すさまじい決闘が刻一刻近づく。だが、死力を尽くした葵小僧との決闘の後、鼠小僧次郎吉を待ち構えていたものとは・・。
時間(本数) |
夜7時~8時54分 |
放送日時(初回) |
1988/8/6 |
放送局(初回) |
NTV |
脚本・監督・プロデューサー |
原作:笹沢佐保 監督:藤井克彦 脚本:尾中洋一 |
出演 |
風間杜夫・荻野目慶子・左とん平・森川正太・木場勝巳・夏夕介・佐藤 慶・松村雄基・奥田圭子・岡本麗・大島瑤子・村田雄浩・萩原流行 |